科学技術の進歩のために、更なる支援をお願い致します

~ 公判では検察の主張の矛盾が露呈し、 告訴及び起訴の不当性が見えてきました~


本蔵義信さんの逮捕・起訴からまもなく 4 年にもなろうとしています。この間、裁判長は二度替わり、3 人目です。 公判担当検察官に至っては三度替わり、4 人目となります。しかし、被告人である本蔵さんと菊池さんのみが弁護人とともに法廷に立ち続けています。このような公判の遅延はそれ自体が著しい人権侵害の疑いがあります。今もなお、本蔵さんたちは、日常生活はもとより、研究・開発や経営者としての業務においても、刑事被告人としての厳しい制約下におかれているのです。ましてや、このような逮捕や起訴が不当なものであるとしたら、 まことにもって憤慨の極みです。

さて、本蔵義信さんが開発した最先端の磁気センサー GSR センサー が愛知製鋼の営業秘密を盗用して製作したものであり、その製作装置を 2013 年 4 月 9 日の打ち合せで口頭やホワイトボードに記載することにより、漏洩したとして起訴された裁判は大詰めを迎えています。愛知製鋼の告訴や検察の起訴の不当性が次第に明らかになりつつあります。

  1. GSR センサーの開発成果が世界的に注目されています。
    • GSR センサーの原理特許への、愛知製鋼の「無効」の申立ては、特許庁により、却下され、MI センサと異なる原理であることが認められました。
      また、本蔵さんの「GSR センサーのワイヤ整列工程特許」に関し、「愛知製鋼の発明の冒認であり、愛知製鋼に特許移転登録請求権がある」として申し立てた特許権処分禁止の仮処分申立てを取下げました。更に愛知製鋼は「MI センサーのワイヤ整列工程特許」を申請し、結果的に二つの工程は異なる技術であることが明らかになりました。
    • GSR 特許の原理である GSR 効果については、学会発表や論文等で国際的に注目を集めています。
    • マグネデザイン社は、GSR 素子の技術開発に成功し、本年 10 月高速mG メータとしてサンプル販売開始が発表されました。これは、検出力の点で、愛知製鋼の MI センサより 30 倍も優れています。小型化を考慮すれば 100 倍の性能実現も射程に入ります。このような高性能が評価されて JAXA や徳島大学にも納品されました。
  2. 証言からは検察側主張の矛盾が露呈しつつあります。
    • 検察は第1回公判で、本蔵さんが漏らした愛知の秘密工程を7項目に整理して提示しました。しかし、愛知製鋼の西畑証人は「検察の工程には重要な工程が抜けており機械は動かない」と証言しました。本蔵さんは「動かない工程を漏らした罪」に問われていることになります。
    • MI センサーは JST(科学技術振興機構)の委託で国費を使って開発され、結果は JST に報告されましたが「報告しなかった内容が愛知の秘密だ」としてきました。しかし、JST 証人は「ノウハウは開発期間終了後遅滞なく報告する契約であった」と証言しました。本来国民に開示すべき技術を企業秘密だとして本蔵さんは罪に問われていることになります。
    • 業者との打ち合わせで用いられた「ホワイトボードの図」が証拠とされ今回の起訴となりました。しかし、業者は「本蔵氏からは仕様の提示を受けただけで、愛知製鋼の技術や工程を教えてもらった訳ではない。機械は自社の技術で設計・製作した」ことを証言しました。
  3. 検察側証人は証拠の鑑定者としての適格性に欠けています。
    ホワイトボードに図示された打ち合わせ時の同席者は本蔵さん・菊池さん・業者の3名だけです。その証言からは愛知製鋼の秘密が開示されたことは示されていません。
    • 当日の会議には愛知製鋼の検察側証人は出席しておらず、直接その内容を知る立場にありません。
    • 証人は愛知製鋼の従業員であり、愛知の利害関係者です、決して公平な第三者ではありません。
    • 愛知製鋼のワイヤ挿入装置を担当していた西畑証人は、業務に携わる以前の開発の歴史を知りませんでした。また、二つのセンサーの根本的な差異であるワイヤにかける張力が「弾性限界内か、限界外か」に関して、ワイヤの「弾性限界値は測定していない。磁気特性の変化(BHT 曲線)は評価していない」と証言しました。 またその上司である山本証人は「ホワイトボードの件は関与していないので、分かりません」と証言しています。さらに、担当副社長であった浅野証人は、「自分には技術的評価をするポテンシャルはありません」と証言しました。

検察は最先端技術を理解できないままに公判を維持しているように見えます。そして、愛知製鋼もまた GSR センサーの革新的発明が理解できないままに告訴したのではないかと疑われるのです。

日本の科学技術の将来にとって大切な技術開発が、不毛な裁判によって、頓挫させられることを座視することはできません。これまで以上に絶大なるご支援を心からお願いいたします。

2020年11月16日

本蔵義信さんを応援する会
会 長 松田 正久
副会長 松田 篤
副会長 石坂 雅昭


第31,32回公判予定

本蔵義信からのメッセージ(2021.7.3)

支援する会 各位

裁判は、検察側証人による立証が終わり、弁護団側の証人による反論がはじまりました。以下、ご報告申し上げます。

弁護団側証人による反論について
第1回6月16日反論では、マグネ社の装置を実際に試作した FA 電子の設計者が証言しました。FA 電子の証言では、マグネデザイン向けに製作した装置は、FA 電子のカタログで PR していた装置を改良し、ワイヤをより精密に整列させる機構を追加した装置であったと証言しました。
愛知製鋼のワイヤ装置は、幅1mmに2本程度ワイヤを張る標準的な装置であったが、マグネ社の装置は 1 mmにワイヤを 20本張る装置で、この点が 非常に難しい要求であったとのこと。
つまり、検察官の主張する工程 (愛知製鋼の営業秘密とされている工程) は製作側は一般的に思いつく工程で、難しいものではないと証言しました。
今回(6月30日)の反論では、元愛知製鋼 技監 清水証人が証言しました。清水証人により、当時の愛知製鋼における秘密管理の実態が明らかになりました。
2012年、菊池がマグネ社のために愛知製鋼のコピー機をリコーに発注しようとしていた、という事実は存在せず、当時、西畑が愛知製鋼の新たなワイヤ装置をリコーへ発注しようとしていたこと、また、その会議には菊池は同席していなかったことが証明され、検察側による主張が事実ではなかったことが明らかになりました。
以下、公判概要です。

  1. 争点(1)
    検察側は、「秘密の装置ワイヤ整列装置の秘密工程は、機密文書「QC工程表、作業標準、作業手順書」に記載されている と主張しています。
    しかし、清水証人は、 「岐阜工場で管理していた『QC工程表、作業標準、作業手順書』には、検察が主張するア)~キ)の工程は書かれていなかった。(文書の一つ一つを確認し ながら立証)また、ア)~キ)の工程を記載した社内資料は見たことがない。清水は、ワイヤ挿入装置の秘密の内容について、聞いていない。そのため、菊池にも引き継いでいない。」と証言しました。
    [結論]:検察側の根拠の柱の一つが崩れました。また、当方は、ア)~キ)の工程はマグネ社の装置の工程で、アイチ装置の工程ではないと反論しています。
  2. 争点(2)
    検察側は、「秘密の装置ワイヤ整列装置は岐阜工場の秘密管理エリアで秘密管理していた」 と主張しています。

      しかし、清水証人は、清水が愛知岐阜工場の工場長であった時期、ワイヤ装置を秘密管理エリアにしてしていなかったと証言しました。具体的な事例として、
    • Apple 社が 2012年 4月 岐阜工場監査に来社した際には、ワイヤ装置を見ることが出来るところまで案内していた。( 愛知側の「衝立にて隠すように指示していた」との主張への反論 )
    • 2004 年当時本蔵氏から、「岐阜工場の素子製造工程を部外者に見せるな」との指示を受けていたが、ワイヤ装置を限定して隠せとは言われていない。
    • 2010 年 RIM 社の監査時には製造ラインを見せた。静電気対策がとられている事を現地確認しないと発注しないとの RIM の意向を受け、本蔵氏の判断により100%全工程を見せた。
    • 2011 年 中部経済同友会の岐阜工場見学会があり参加者25名。本蔵氏が講演し工場を案内した。
    • 2012年 4月 Apple社の監査時には、RIM 社と同様に製造ラインを見せる予定でいたが、ワイヤ装置を見せないようにすべきと山本氏から聞いた鹿野氏( 当時の岐阜工場長 )から、衝立で隠すとの提案があった。そこで清水は本蔵氏に電話で相談し、「工夫できるならば良い」との判断により衝立はした。しかし、実際の工場案内では、本蔵氏はワイヤ装置が見える場所まで案内した。
    • 清水は、部外者に見せるなと言われていた「秘密のマイクロコイル工程」において重要なのはワイヤ整列装置ではなく、マイクロコイルを形成するメッキ工程である認識していた。
    [結論]:検察側は、ワイヤ装置を重大な秘密として特別管理していたと主張していたが、特別な秘密管理処置は取られていなかったことが証明されました。    
  3. 争点(3)
    検察側は、「菊池は12年12月4日リコーを呼び、本蔵と共謀してアイチ装置コピー機を発注しようとしていた。西畑はその会議に突如呼ばれただけである。」と主張しています。リコーの有滝氏は、「アイチ以外の発注と感じた」と証言しましたが、その証言は、愛知製鋼側の参加者が本蔵・菊池・西畑の 3 名であったことが前提でした。

      しかし清水証人は、
    • 「2012.12.4のリコーとの打ち合せには、愛知側は、本蔵、清水、西畑の3名が出席し、菊池氏は都合が悪くて出席していなかった。会議では、本蔵氏が背景、目的を説明、西畑氏が装置の仕様を説明した。愛知の業務であった。この事は、12月6日のDR(注:デザインレビュー)にて西畑氏が説明した資料とリコーに説明した内容が同じであること、2012.4に西畑氏がApple社向けの資料として用意した製品仕様や設備仕様とも合致しているのでわかる。」 また、清水は、2012.12.4の当日、有滝氏らより受け取った名刺を証拠として提出した。
    [結論]:検察は、本蔵・菊池は密かにマグネ社のワイヤ装置製作を計画していたとして、それを立証するため、2012.12.4 のこの会議で菊池がリコーへ愛知製鋼のワイヤ装置を説明し、コピー装置を製造依頼したと主張していますが、当日、菊池は不在。西畑氏が社内資料に基づいて説明したことが明らかになり、愛知製鋼の業務としてApple社向けに新たな装置を依頼していたことが証明されました。検察の主張は、事実無根であることが判明しました。
     
      以上 本蔵義信

近況報告(2019.11)

  1. あらためて杜撰な公訴の棄却を主張します!!
    第2回・第3回公判が開かれました

    第2回および第3回公判が開かれました。2年余にわたる長期の公判前整理を経て開かれた公判は、あらためて、公訴棄却を求めてきた弁護団の主張が正しかったことを浮き彫りにする内容となりました。

  2. やっぱり違う製造装置だった!!
    愛知製鋼による特許申請の事実があきらかになりました

    先にもお知らせしたように、11月 8日に予定されていた第 4回公判は、急遽、2020年 1月 10日に延期されました。何が起こったのでしょうか?

    第4回公判では、愛知製鋼・西畑証人の審尋がおこなわれ、愛知製鋼の主張する「営業秘密」の実質が検討される予定でした。これまで、愛知製鋼は、その 「営業秘密」として主張するところを積極的・具体的に開示することなく、マグネデザイン社が保有し、同社によって公開された特許情報にこそ愛知製鋼の「営業秘密」が開示されていると一方的に主張してきました。そして、それは検察官の冒頭陳述等においても繰り返し主張 されてきました。

    ところが、愛知製鋼は本蔵さんの告訴と並行し、その主張する「営業秘密」を基礎として、密かにアメリカでの特許申請を準備していたのです。この申請は、 2017年 8月に出願されましたが、その内容が公開されていることが、この度、発覚しました。このような特許申請の情報は、弁護人はもとより裁判所にすら知らされていませんでした。今、はじめて詳細に記された愛知製鋼の「営業秘密」を基礎とする製造装置の内容が明らかになったのです。

    そもそも、マグネデザイン社の特許に対する異議申し立てではなく、それとは別の形での新たな特許の申請自体、これまでの同社の主張をみずからが否定するものです。新たな特許の申請は既存の同種特許と異なることが前提となっています。すなわち、同社の製造装置は、マグネ デザイン社のそれと構造や機能、そしてそれを実体化する工程のいずれにおいても、明らかに異なるものとして申請されていたのです。これまで、「漏洩」されたとされる「営業秘密」の最大の受益者であるはずのマグネデザイン社がなぜ訴えの対象でなかったのか、不思議に思っていましたが、今ようやく事情が飲み込めました。

    さて、「漏洩」を論じる以前に、何が愛知製鋼の「営業秘密」なのか、というこれまで弁護団がさんざんに追求してきた問題が、今はじめて、愛知製鋼自身の文書によって論じることができるようになりました。曖昧な言葉や印象操作ではごまかしきれない事態にあらためて至っているのです。第 4回公判は愛知製鋼 の主張する「営業秘密」 についての審尋でしたが、そこで証人に何を問うべきか?検察官の主張する「営業秘密」とそれはいかなる関係か?裁判所もまたその出発点から考え直す必要が出てきたのです。

  3. ふたたびGSRセンサーの革新性が確認されました!!
    GSR特許に対する愛知製鋼の異議申し立てが却けられました

    愛知製鋼は、本蔵さんたちへの「不正競争防止法違反」という刑事告訴と並行して、本蔵さんたちのもつ GSR センサーの原理特許についても、特許庁に対し、 その無効を申し立てていました。GSR センサーの原理特許は同社の保有する MI センサー特許を侵害するものであり、GCR センサーは MI センサーの焼き直しに過ぎない、と主張していたのです。この申し立てを受けて特許庁で進められていた専門官による審理が終了し、 10月初旬、審決が下されました。愛知製鋼の申し立てが却下され、その主張は見当違いとされたのです。愛知製鋼には東京高裁への上告 の選択肢もありましたが、それが行われなかったことから、同審決は確定いたしました。

    今や、GSR センサーとMI センサーが同じものとする愛知製鋼の主張は根拠のない予断であったと言うべきでしょう。したがって、 それを出発点とした「秘密漏洩」事件の捜査や逮捕・起訴そのものが、誤った予断の下に進められてきた疑いが強まったのです。先に、セ ンサー製造装置が愛知製鋼のそれとマグネデザイン社のそれとが、その特許内容から見ても明らかに異なることが露呈しましたが、ある意 味でそれは当然のことだったのです。設計思想が異なれば、センサーの構造や機能も異なります。構造や機能が異なれば、それぞれの製造 装置も自ずからに異なり、当然、工程も異なるのです。事件の当初、捜査官たちは「センサーの構造や機能を漏らした」と言いつのりまし た。いつしかその言葉は消え、「工程を漏らした」と変わりました。今、その言葉も消え、「あれこれの工程のあれこれの工程構成要素を 漏らした」に変わっています。厳重に管理され、大きな経済的価値を生むとされた愛知製鋼の「営業秘密」は、検察官の主張の中で日を追う毎に卑小なものとなり、今にも消えて無くなりそうです。