第1回公判、昨年の6月27日から1年が経ちました。遅々と進まない裁判を横目に見ながらGSRセンサーの研究開発に注力すると同時に、出逢う方々に無実を訴えて過ごしてきました。あらためて私の思いを訴えたいと思います。

2013年4月9日、私は、装置メーカA社の担当者の方に、これまでのMIセンサーとは全く反対の発想に基づく次世代MI素子を試作するワイヤ整列装置の製作を依頼しました。私の新発想をホワイトボードにごく簡単な図を描いて説明し、それを基に新設備の仕様について討論しました。それだけの行為が、不正競争防止法で処罰される「営業秘密」の開示にあたるとは到底思えません。しかもその説明の内容は、一般的に知られていたセンサー設計情報に終始しており、そこには、愛知製鋼が秘密として管理していたマイクロ溝にワイヤを挿入する技術上の情報はいっさい含まれていません。

さらに、事件当時、愛知製鋼のMIセンサー事業は、他社の半導体技術をベースにした磁気センサーに押され、量産品の分野では競争力を失っていました。そこで私は愛知製鋼を中心とした日本のMIセンサー事業を立て直すことが急務だと考え、次世代MIセンサー開発プロジェクトの結成をJST(日本科学技術振興機構)に提案し、賛同を得てその準備を開始していました。愛知製鋼のMIセンサー事業の立て直しにひと肌なりとも脱ぐつもりで努力していました。

その後、名古屋大学と共同研究契約を締結し、経産省などの支援を受けて研究を進めた結果、2015年にGSR原理を発見しました。その年の7月には国際会議で招待講演し、10月のNHK報道と続きました。2016年に入って、私が設立したマグネデザイン社で独自の試作ラインを準備し、それを使って量産タイプのGSR素子の製作に成功し、愛知製鋼やトヨタ自動車にGSRセンサーの共同開発を5月に提案していました。その矢先の8月、愛知製鋼は提案を無視した上で、何の連絡もなく一方的に告訴に及びました。

この第1回目の告訴の内容は、2件の「犯罪事実」を言い立てたものでしたが、取り調べの結果、すべて、嫌疑不十分で不起訴になりました。ところが、A社との打ち合わせの際に使用した図の写真が強制捜査中に見つかり、それを愛知製鋼の秘密を開示した証拠だと勘違いした捜査当局はついに逮捕・起訴に及びました。この打ち合わせは、GSRセンサー発見のスタート点になった会議でした。MIセンサーと反対の発想、つまりMIセンサーは張力をかけると特性が低下するのですが、反対にGSRセンサーは強い張力をかけて素子を製作すると特性が改善するのではないかと考え、愛知製鋼の装置とはおよそ正反対の技術的思想に基づく装置を製作することを決めた会議でした。裁判開始から1年が経ちましたが、私としては、一日も早く各方面のこのような勘違いが解消され、裁判所によって公訴が棄却されることを期待しています。

現在、私は被告人の立場ですが、大勢の方がたの支援を受けてGSRセンサーの開発を進めています。ASIC回路仕様のGSRセンサーは、愛知製鋼のASIC仕様のMIセンサーに比較して100倍以上の高性能化と超小型化(すなわち大幅な低価格化)を実現しています。IOT時代に貢献する高性能磁気センサーとして商品化を進めたいと思っています。この8月には電磁波工学分野では最大のPIERS国際会議にも招待され、GSRセンサーの研究成果を発表する機会を与えられました。私はもちろん、家族もまた、肉体的、精神的さらには経済的にも非常に厳しい状況が続いておりますが、これまで以上に一層の努力を傾け、GSRセンサーを世に出すつもりです。これからも、どうか御支援をよろしくお願いいたします。

2018年6月27日 本蔵義信